文章を書いていて、終盤戦に来たときの注意点

文章を書いていて、終盤戦に来たときの注意点

第8章がようやくまとまりそうで、大変うれしいです。今の感触だと、多分今日中にはレビューアさんに送ることができそうです。感謝。

文章を書くのは大変時間がかかるんですけど、時間をかければちゃんと進むのは嬉しいですね。

何回もお話ししている気がするんですけど、なぜ時間がかかるかというと、たくさん書いているからのような気がします。そして、どうしてたくさん書いているかというと、理解するために書いてるんじゃないかと思います。

理解するために書いているともいえますし、自分の理解を確認するために書いているともいえます。

正確で読みやすい文章になっているということは、それだけクリアに理解しているといえます。読みやすい文章にするためには、概念を適当な粒度でまとめる必要があります。また話の抽象度を適切にあげたり、下げたりして、読者の理解を助けることが必要になりますが、それをするためには書いている本人が理解していなければいけません。

ということで毎度の話なんですが、書くのに、時間がかかっているのは、自分の理解を確かなものにするためにかかっている時間と言えそうです。

実はここには、文章を書いていて終盤戦になったときの危険性もあらわになっています。文章が書き上がる直前というのは、自分がその話題についてよく理解が進んでいる状態といえます。したがって、もっと書きたくなってしまう現象が起きるのです。

これは書き手にとっては楽しいことであり、モチベーションが大変上がるので良い面もなくはないんですけれど、際限なく文章が長くなってしまう危険性があります。読み手にとってはたまったもんじゃありませんので、注意が必要です。ここでも、また「読者のことを考える」という態度が大切になります。

自分の理解が進んで、もっと加筆したくてたまらなくなったところで、ぐっとこらえて文章を短くまとめる必要があります。なかなか難しいもんですね。

#結城浩のひとりごと

2023-09-29 06:30:18 +0900

この文章は、音声入力を利用して結城浩のマストドンに投稿したものです。

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結城浩(ゆうき・ひろし) @hyuki


『数学ガール』作者。 結城メルマガWeb連載を毎週書いてます。 文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。2014年日本数学会出版賞受賞。

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