来月予定している講演会の準備の話

来月予定している講演会の準備の話

今日の早朝活動として、講演会の準備をしていました。来月の初めに、ある学校で話す予定になっています。お仕事というのとはちょっと違う側面がありますけれど、ともかくその準備をしていました。

人前で講演や特別授業をするときには、前もって準備をしています。準備では、何を話すかを全て文章に一回起こすように心がけています。

今日の早朝書いていたのもその文章になります。大体書けたんですけど、アウトライナーで書いているので、おそらく実際にこのまま話してしまうと、大幅に時間をオーバーしてしまうと想像できます。

自分が今まで聞いてきたたくさんの講演やメッセージを振り返ってみると、今でも印象に残っているものや記憶に残っているものはほんのわずかだと思います。多くの場合、どうしても長すぎたり盛りだくさんすぎて、記憶に留められないのかなと想像しています。

メッセージはシンプルにして、良い内容が長く記憶にとどまるようにしたいと願うのですけれど、それは難しいことですね。

シンプルなメッセージを1つだけ語るのは簡単ですが、それだけでは時間が持たないでしょう。だからといってメッセージを増やせば良いかというと、今度は記憶に残らなかったり、印象に残らなかったりすることになります。

メッセージは1つに絞って、でもそれをしっかり深めていくことが大切なのかなと思います。メッセージそのものが充分豊かな意味を持っているならば、いくら深めたり、広げたりしても薄くなることがありません。逆に、メッセージが表面的な価値しかないならば、うっかり深めたり、広げたりすると、その薄っぺらなところが明らかになってしまうと言えるでしょう。

難しいものですね。まあ、だからこそ、印象に残って記憶にも残って、しかも意味のあるメッセージというのが少ないのでしょう。

考えてみると、準備をするというのは、まさにそこの部分に価値があるのです。単に言葉を羅列するのが準備なのではなくて、自分が伝えたいメッセージが何であるかをよく考えて、適切な言葉を選び、適切な順序で配置して、相手にわかりやすい例を出してしかもなかなか気がつかない。広げて深める。その構造にまで言及する。そういうことを考えることが本当の準備なのでしょう。

自分で準備のハードルをかなり上げてしまった気もしますが、でもそれが本当のことなので仕方がありません。

#結城浩のひとりごと

2023-09-22 09:49:01 +0900

この文章は、音声入力を利用して結城浩のマストドンに投稿したものです。

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結城浩(ゆうき・ひろし) @hyuki


『数学ガール』作者。 結城メルマガWeb連載を毎週書いてます。 文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。2014年日本数学会出版賞受賞。

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